ほくろの検査と治療
ほくろが良性か悪性か鑑別するためには、局所麻酔をして切除し、採取した細胞を顕微鏡で検査する必要があります。悪性ではないと診断されたがほくろが巨大化してしまい、再検査で悪性だと判明したケースもあります。
良性と断定するためには手術が必要なこともあります。また、生まれつきあるあざ(母斑)は悪性黒色腫に変性するケースもまれに存在しますので、足裏など悪性黒色腫が生じやすい部分にできたほくろはなるべく早めに切除することをお勧めしております。
いぼの症状と治療
いぼとは、医学的には皮膚に生じる小さな突起物のことで、ウイルス性のものと加齢によるものがあります。加齢によるいぼは、引っかかったり見た目が悪かったり、ときにはかゆみを伴ったりします。年齢とともに増加しますが、良性です。
ヒトパピローマウイルスの感染によって生じるいぼは、ウイルス性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれており、一般的に難治性で、再発しやすいといわれています。接触感染ですが、アトピー性皮膚炎や、ひげそりなどにより、傷ついた皮膚からウイルスが侵入することで感染します。
治療は液体窒素で焼く方法(当院では行っていません)と切除する方法があります。当院では、液体窒素療法よりも痛みが少ないモノクロロ酢酸を用いた治療を行っております(自費診療:3ヶ所まで1,650円)。
脂漏性角化症
高齢者に発症するいぼの中でも、頭、顔、体の周辺によくみられ、黒褐色でブツブツとした形状の先端が尖ったいぼが複数生じるものは脂漏性角化症の疑いがあり、これはウイルス性のものではありません。加齢に伴って数が増加し、まれにかゆみを生じます。液体窒素による治療を保険適用で受けることが可能です。急に出現し、急速に増えて大きくなり、かつかゆみがある場合には、内臓悪性腫瘍の可能性もあります。
脂肪種の症状と治療
最もよくみられる皮下の良性腫瘍です。幼少期に発症することが多いですが、進行スピードが遅いことから早期発見が難しく、40〜50代で発見されることが多いです。どちらかというと女性に多く、また肥満気味の方の発症リスクが高いとされています。発症部位はさまざまで、肩、背中、首によくみられ、臀部、上腕、大腿などの四肢にも発症します。痛みなどの自覚症状は少なく、皮膚がドーム状に隆起し、柔らかいしこりが確認できます。巨大化すると違和感やしびれが生じるようになります。
診断は、画像検査と臨床症状に基づいて判断します。画像検査は、超音波検査、CT、MRIなどを実施します。
治療は、手術による切除が一般的で、サイズが小さいうちは局所麻酔で切除できます。ただし、巨大化しているものや神経や血管を含んでいるもの、あるいは画像検査で悪性の分化型脂肪肉腫との鑑別が難しいものは、全身麻酔での手術が必要であるため、提携先の高度医療機関におつなぎいたします。
良性皮膚腫瘍手術前の注意事項
局所麻酔アレルギーや薬剤アレルギーのある方
当院では、キシロカインという局所麻酔薬を使って切除治療を行いますので、麻酔アレルギーをお持ちの方には手術をご案内できません。麻酔アレルギーの方で切除をご希望の場合は、提携先の高度医療機関におつなぎいたします。また、当院では手術後に、痛み止めとして鎮痛剤の処方が可能です。過去に薬剤アレルギーの経験がある方は、治療前に忘れずにお知らせください。
術前は血液検査を行います
安心安全な手術のために、当院では手術前に必ず血液検査を実施します。止血効果がある血小板の数、貧血の有無、腎機能、肝機能などに加え、梅毒、B型肝炎、C型肝炎といった血液を介して感染する感染症の発症についても確認しております。なお、直近1ヵ月間に、他の医療機関で血液検査を受けている方は、当院で行う血液検査の省略もしくは検査項目の見直しが可能ですので、検査結果を忘れずにお持ちください。
抗凝固剤、抗血小板剤などを内服中の方
抗凝固剤や抗血小板剤、一部の高脂血症薬、神経を保護する薬、オメガ3やビタミンEのサプリメントなどを使用している方については、血液がサラサラになって止血が難しいため、これらの薬やサプリメントを使っている旨を必ず事前にお知らせください。当院では、服用の中止期間を設けて手術を行っているため、服用の中止が難しい場合は、提携先の高度医療機関におつなぎいたします。
良性皮膚腫瘍の主な治療
皮膚に生じた腫瘍は塗り薬や飲み薬で治療することは難しく、細菌感染によって赤く腫れあがることもあります。また、悪性腫瘍としっかり鑑別するために、基本的には外科手術で切除して、切除した組織を生検検査に回すことで確定診断につなげていきます。腫瘍のサイズや年齢にもよりますが、小学校高学年以上の方でしたらほとんどの場合は局所麻酔による日帰り切除の対象となります。なお、腫瘍のサイズが大きい、幼い子どもであるなどの場合は全身麻酔が必要です。
治療は、腫瘍のサイズ、性質、疾患の内容に応じて最適な方法をご案内いたします。サイズが小さければなるべく傷跡が目立たないよう細心の注意を払いながらメスで切除し、縫合します。