コラム

空腹時にお腹が『グ~』と鳴らない人は要注意!

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お腹が空いても「グ~」と音が鳴らない方は、SIBOという病気のリスクがあります。

ランチ前の授業中や会議中に、お腹が「グ~」っと鳴って、飲み物を流し込んだりお腹に力を入れたりして、周りの人に聞こえないように頑張ったことはありませんか?

 

「なんでこんな音が鳴るんだ!」とイライラしたり、少し恥ずかしい思いをしたりした人も多いかもしれません。

 

しかし、この「グ~」という音、単にお腹が空いたことを知らせるものではなく、胃腸を健康に保つのに非常に重要なのです。

 

私たちの体には、食べ物を移動させる蠕動運動というものがありますが、それとは別に、「Migrating Motor Complex:MMC」と呼ばれる腸管運動があります。

 

そして、このMMCが「グ~」という音を発生させているのです。

 

 

MMCとは

MMCは、「クリーニングウェーブ」とも呼ばれ、空腹時に胃と小腸で周期的に繰り返される特有の収縮運動の名称です。

この運動は、消化管が食物の消化吸収を行っていない食間期に現れ、消化管内の残留食物や細菌を胃⇒小腸⇒肛門側へ輸送するクリーナーの役割を果たしています。

 

 

 

 

 

MMCと蠕動運動の違い

項目 MMC 蠕動運動
発生部位 胃、腸 消化管全体
発生タイミング 空腹時 食後
運動パターン Phase I~Phase IVからなる周期的な運動 局所的な収縮と弛緩が波のように伝播する不規則な運動
役割 消化管の掃除、残留物の輸送 食物の移動、消化・吸収の促進

 

 

 

MMCの構成

MMCは次の4つのフェーズで構成され、これを1サイクルとして周期的に発生します。

  • Phase I(静止期)
    ・活動がほとんどない。
    ・MMCサイクルの準備期。
  • Phase II(不規則収縮期)
    ・低振幅の収縮が不規則に発生する。
    ・消化管内容物の混合が起こる。
    ・小腸ではこの期がサイクルの80%を占める。
    ・夜間ではこの期の収縮がほとんどみられなくなる。
  • Phase III(強収縮期)
    ・5~10分ほど続く力強い収縮波群。
    ・規則的な高振幅の収縮が起こる。
    ・胃または十二指腸から始まり小腸全体へと広がる。
    ・消化管内を清掃する最も重要な期であり、食物残渣、粘液、細菌などを大腸に押し流す。
    ・この期の収縮は、70%が胃で始まり、30%が十二指腸で始まる。
    ・胃で始まるものはモリチンの分泌と関係し、十二指腸で始まるものはセロトニンやソマトスタチンの分泌が関係している。
    ・十二指腸より後は伝播速度が遅くなり、持続時間が長くなる。
  • Phase IV(移行期)
    ・Phase IIIからPhase Iへの短い移行期。
    ・収縮活動が急速に減少し、次のMMCサイクルに備える。


    このPhase I ~ Phase IVまでの1サイクルの周期は、90~120分くらいだといわれています。

 

MMCが阻害・中断される原因

  • 間食が多い
    MMCは空腹時に発生するため、間食が多く、常に食物で満たされていると発生しにくくなります。
  • 食中毒後の過敏性腸症候群(PI-IBS)
    食中毒をきっかけに、特殊な自己抗体が作られてしまい、この抗体がMMCに関与する細胞組織を攻撃することでMMCの機能が低下します。このタイプの過敏性腸症候群はほとんどが下痢です。
    当院では、この特殊な抗体の有無を調べる「IBS Smart」検査を受けることができます。
  • 薬剤
    アトロピンなど特定の薬剤によってMMCが抑制されます。
  • 加齢

    高齢者では、Phase IIIの伝播速度が遅くなることがありますが、振幅と頻度は若い成人と同程度です。

  • 高血糖
    糖尿病では、MMCをコントロールする迷走神経がダメージを受けることがあります。

 

 

MMCの機能不全が起こると

MMCの主な仕事は腸管内のクリーニングです。MMCがうまく働かなくなると食物の残渣や細菌が除去されず小腸内に蓄積します。小腸は栄養を吸収する場所であるため栄養が豊富に存在しており、細菌がその豊富な栄養で過剰に増殖し、そこで水素やメタン、硫化水素などのガスを発生させます。このガスにより膨満感が生じるほか、大量に発生したガスによって、水素と硫化水素は下痢を、メタンは便秘を引き起こします。これがSIBO(小腸内細菌異常増殖症)です。

※MMCが低下すると必ずSIBOになるわけではありません。胃酸や胆汁が正常に分泌されていればほとんどの細菌は死滅した状態で小腸、大腸に送られます。

 

 

SIBOの特徴

  • 食後にお腹が張ることが多い。ガスが溜まる。
  • 腹痛、下痢、便秘から、胃酸の逆流、皮膚症状、自己免疫疾患、ブレインフォグまでと、症状が腹部だけにとどまらないことがある。
  • リーキーガット、ヒスタミン不耐症、むずむず脚症候群など、他の病態や疾患を引き起こしやすい。
  • 発症すると3分の2が慢性化するといわれており、再発が多い。
  • 通常の保険診療では対応できないことが多い。

 

 

SIBO・IBS外来を行っています

当院では、自費診療によるSIBO・IBS外来を行っております。他院にて過敏性腸症候群と診断されている方で、「グ~」の音がほとんど鳴らない、食後に膨満感がある、下痢または便秘がある方は当院のSIBO・IBS外来をご検討ください。

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