認知症検査の種類
当院では、「認知症サポート医」と「認知症かかりつけ医」の資格を有する医師が認知症の診療を行っています。この診療では、面談・診察を最優先に行います。
厳密には検査ではありませんが、認知症の診断においては欠かせないものであり、ご家族など周囲の方からのお話が正確な診断において重要となります。具体的には、日常生活における行動の変化や認知機能について、詳しくお聞かせいただきます。
また、薬の副作用で認知症に似た症状が起こることもありますので、診察時にお薬手帳も拝見します。
このほか、以下の2種類の検査も行っております。
各種検査について
ApoE遺伝子検査
認知症は種類が多く、原因も多岐にわたりますが、日本ではアルツハイマー型認知症がその半数以上を占めています。アルツハイマー型認知症は、脳内に老廃物(アミロイドベータペプチド)が蓄積して神経細胞がダメージを受けることで発症します。
ApoE遺伝子検査は、認知症のリスクを調べる検査です。この検査では、5mLほど採血して、アミロイドベータペプチドに関わるアポリポ蛋白Eという物質に関わる遺伝子の種類を調べます。この遺伝子には、ε(イプシロン)2、ε3、ε4という3つの種類があり、それぞれ2つずつ組み合わせると、6つのグループに分けられます。各6つのグループには、それぞれ発症リスクがどの程度あるのかがわかっています。たとえば、「ε4/ε4」の人は「ε3/ε3」の人よりも発症リスクが11.6倍になります。
検査では、あなたがどのグループに属しているのかを調べて認知症の発症リスクを判定します。
※検査結果レポートのサンプルはこちら
MCIスクリーニング検査
認知症の予備軍とされる軽度認知障害(MCI)のリスクを調べる血液検査です。健常者と認知症の中間にあり、普段の生活では問題がみられませんが、放置すると5年で半数近くが認知症に進行する可能性があります。しかし、このMCIの段階で予防や治療を適切に行うことで、認知症の発症を防いだり、遅らせたりすることが可能だといわれています。
脳内にアミロイドベータペプチドが蓄積されると神経細胞にダメージが及び、アルツハイマー病が発症します。この検査では、タンパク質3種類*の血中濃度を調べてMCIのリスクを予測します。
*アミロイドベータペプチドを排除してくれる「アポリポタンパク質」、毒性を弱めてくれる「トランスサイレチン」、アミロイドベータペプチドを処理してくれる「補体タンパク質」。
認知症検査は外来で実施可能
上記はすべて外来診察の際に実施できます。後日検査機関から結果が出ますので、再度来院していただき結果の内容をご説明します。結果に応じて、食事や日常で気をつけていただくことをアドバイスします。また、ビタミン不足、梅毒、ホルモン異常などが原因で、認知症に似た症状が起こることもありますので、血液検査のほか、頭部MRI、頭部CTなどを行うことも重要です。
脳の萎縮状態を確認し、認知症に似た症状が起こる正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫などの疾患との鑑別も可能となります。
認知症検査の費用
検査名 | 料金(税込み) |
---|---|
ApoE遺伝子検査(結果説明込み) |
22,000円 |
MCIスクリーニング検査(結果説明込み) |
24,200円 |
※初診料が必要な医療機関が多いなか、当院では自費診療について初診料はいただいておりません。
※予約制です。