漢方外来

このような症状はありませんか?

  • 症状があるのに、検査では異常が見つからない
  • 西洋医学の治療では満足できる効果が得られなかった
  • 西洋医学の処方薬の副作用がつらい
  • 整形外科で注射や湿布などの痛みの治療を受けているがあまり効いていない
  • 皮膚科で塗り薬などの治療を受けているが皮膚が一向に良くならな
  • 夏バテ、倦怠感がある
  • 便秘、下痢、冷え、のぼせ、肩こりといった軽度の体調不良が起こっている
  • ストレスを感じやすく、イライラ、不安、不眠で苦しんでいる
  • めまい、立ちくらみがある
  • 虚弱体質のため、風邪を引きやすく、疲れやすい
  • 毎年しもやけができる
  • 足のむくみがある
  • 生理周期によるイライラ、倦怠感などがある
  • 漢方独自の診断法を受けてみたい
  • 新型コロナウイルス後遺症

漢方2021年1月、20~50代の女性10,000人を対象にツムラ社が行った「隠れ我慢」に関する実態調査によると、全体の8割が「隠れ我慢」をしていることが明らかになりました。さらに、我慢を続けたことで6割が体調を悪化させているということもわかりました。
症状の上位3つは「疲れ・だるさ」、「冷え」、「イライラ感」でした。このような症状を抱えながらも、8割もの女性が我慢しながら仕事、家事を頑張っているのです。それにもかかわらず「隠れ我慢」の相談相手は誰かの問いに「かかりつけ医」と答えた女性はわずか6.6%でした。相談相手の1位が「プライベートの友人」ということから、おそらくほとんどの人が「体質だから仕方ない」、「なんとか我慢できる」、「みんな我慢してるはず」、「病院に行くのは大げさ」と思っているのではないでしょうか。しかし、6割の方が我慢したがために症状の悪化を経験しているのです。
この「疲れ・だるさ」、「冷え」、「イライラ感」といった症状は、まさに漢方が得意とする分野といっても過言ではありません。症状などによって保険適用で漢方の処方が可能です。当院では、漢方に精通した女性医師と栄養の資格を有する女性看護師が、漢方療法や栄養療法を駆使しながらあなたの不調を改善し、いきいきと元気いっぱいに生活を送れるよう、二人三脚でサポートいたします。我慢したばかりに大きな病気の発見が遅れたということもありえますので、どうぞ我慢なさらず当院にご相談ください。

漢方治療とは

当院では、西洋医学の検査・治療のほかにも、有効成分を抽出したエキス製剤による漢方治療に対応しております。
西洋医学では満足な治療効果が得られない方も、漢方治療や東洋医学的なアプローチによって快方に向かうことも多くあります。漢方薬の種類はさまざまあり、ゆっくりと体質を改善するもの、複数の症状を改善させるもの、素早く効果が出るものなどがあります。症状、証、気、血、水の状態、時間経過などに応じて最適な処方を行いますので、ぜひ一度ご相談ください。

ご本人の体質や病態、ライフスタイルを考慮した最適な治療

東洋医学的アプローチとは、自覚症状のみならず体質も念頭においたうえで処方を行いますので、患者さんそれぞれにとって最適な治療につながります。

漢方治療が向いている症状・疾患

風邪、胃腸炎といったウイルス性疾患、過敏性腸症候群、食欲不振、便秘、下痢、月経前症候群、月経痛、冷え、
倦怠感、疲労感、体力低下といったさまざまな症状を同時に改善できることが期待できます。

漢方薬が有効な場面

  1. 検査では異常がみられないため、西洋医学では病気と診断されない場合
    (肩こり、むくみ、冷え、こむら返り、体力低下など)
  2. 西洋医学の治療により一時は症状が改善するが、何度も症状が起こる場合
    (月経痛、不眠、頭痛、めまいなど)
  3. 西洋医学の治療では満足な効果が得られないもしくは後遺症や副作用に悩んでいる場合
    (がん術後、更年期障害など)

自然素材を使用した身体によいもの

1800年前から研究が継続して行われている治療であり、今なお漢方薬に使われている生薬(しょうやく)の多くは、植物の根、果皮、種子であり、食べられる自然素材です。

すぐに効果を感じられるものも

漢方薬は長期間服用することで、次第に体質が変わってくるものと思っている方も多いと思いますが、なかには服用後10~20分程度で効果が現れるものもあります。

西洋医学と併用するメリット

西洋医学の治療効果は明確なことが多いですが、薬を止めると再び悪化し、なかなか症状が改善しないということも珍しくありません。その際、漢方治療によって十分な治療効果が期待できることがあります。
特に、漢方はご本人の体質を考慮して最適な処方を検討していくという特徴があります。
西洋医学・東洋医学いずれも長所がありますので、上手く両方を用いることで治療効果を最大限に引き出すことができます。一般的な西洋医学の治療で症状は治まってきたが、まだ完璧ではないといった方は、ぜひ一度ご相談ください。

漢方は保険適用なの?

保険適用となりますので、経済的な負担が軽減されます。
また、保険適用となる漢方は顆粒・細粒・錠剤の状態で袋詰めされていますので、保管や持ち運びが楽といった、利便性が高いという特徴があります。保険適用となる漢方は現在約150種類あり、複数のメーカーから販売されています。
実は同じ漢方でもメーカーによって生薬量のバランスが異なる場合があり、たとえば葛根湯では主成分「カッコン」の量がツムラさんやコタローさんでは4gであるのに対し、クラシエさんのものだと8gとなっています。またツムラさんのものは顆粒状ですが、コタローさんやクラシエさんのものはもっと目の細かい粉状です。
このように、どの漢方にするかということだけでなく、メーカーについても考慮しながらご本人にとって最適な漢方を処方しています。

健康保険が適用される漢方

※ブラウザの検索機能で症状や病名を入れるとよいでしょう。

漢方名 保険適応病名と備考

葛根湯
(カッコントウ)

自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のある方の次の諸症:
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、蕁麻疹

・体を温めて発汗を促す作用。
・風邪では特に発熱前の頭痛や後頚部の張りによい。
・痛みでは特に胸から上(頭痛、眼痛、耳痛、首痛、肩痛、肋間神経痛)の炎症によい。
・頭痛では特に緊張型に。
・食物アレルギーでは、柴胡清肝湯を併用すると効果が高まる。
・生薬の麻黄には、エフェドリン類が含まれているため、高血圧や心臓病、脳卒中既往など、循環器系に疾患のある人では注意する。

・江戸時代には「葛根湯医者」ということばが生まれ、誰にでも何の症状にも葛根湯を処方するほど幅広い疾患・症状に用いられていた。

葛根湯加川芎辛夷
(カッコントウカセンキュウシンイ)

鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎

・風邪などの感染症で、発熱、悪寒、頭痛にもよい。

・耳の疾患では外耳炎、中耳炎にもよい。

葛根加朮附湯
(カッコンカジュツブトウ)

関節痛、神経痛、筋肉痛

・葛根湯で効果がなかったときや症状が慢性化している場合に用いる。
・胸や肩甲骨から上の筋肉の張り、こりに。

・肩関節周囲炎、頚椎症、変形性関節症などに。

乙字湯
(オツジトウ)

病状がそれほど激しくなく、体力が中位で衰弱していない方の次の諸症:
キレ痔、イボ痔

・日本発祥の処方。
・肛門疾患のうち、実証に用いる。

・肛門や陰部疼痛、軽い出血、そう痒などに。

安中散
(アンチュウサン)

やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛または腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、食欲不振、吐き気などを伴う次の諸症:神経性胃炎、慢性胃炎、胃アトニー

・月経痛、十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシア、子宮内膜症にも。
・甘党の人に効きやすい傾向がある。

十味敗毒湯
(ジュウミハイドクトウ)

化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、蕁麻疹、急性湿疹、水虫

・急性期の化膿で、皮膚の表面に近い化膿に。
・鼻炎、副鼻腔炎、扁桃炎などにも。
・化膿を繰り返す皮膚炎症では長期服用。

・皮膚の微小循環障害を改善する。

八味地黄丸
(ハチミジオウガン)

疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のある方の次の諸症:
腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧

・「六味地黄丸」に桂皮と附子を加えたもの。
・ポイントは冷えとだるさ。
・主な症状はやせ、四肢のしびれ、息切れ、不眠、動悸、耳鳴り、脱毛、骨・歯のトラブル、低血圧、低体温。
・糖尿病、高血圧、低血圧、骨粗しょう症、五十肩、白内障、眼精疲労、湿疹、更年期障害にも。

・高齢者の腰痛や疲労にも。

大柴胡湯
(ダイサイコトウ)

比較的体力のある人で、便秘がちで、上腹部が張って苦しく、耳鳴り、肩こりなど伴う方の次の諸症:
胆石症、胆のう炎、黄疸、肝機能障害、高血圧症、脳溢血、蕁麻疹、胃酸過多症、急性胃腸カタル、悪心、嘔吐、食欲不振、痔疾、糖尿病、ノイローゼ、不眠症

・小柴胡湯よりも元気がある、体力があるときに用いる。
・特に交感神経が優位な場合に。
・便秘にも。

・ダイエットにもよく用いられる。

大柴胡湯去大黄
(ダイサイコトウキョダイオウ)

胸や脇腹に圧迫感や痛みがあって下痢をしたり、肩こり、食欲減退などを伴う方の次の諸症:
肝炎、胆嚢炎、胆石症、胃腸カタル、不眠症、肋間神経痛、動脈硬化症、高血圧症

・大柴胡湯との違いは本剤には「大黄」が含まれていない。

・ポイントは熱や便秘がないこと。

小柴胡湯
(ショウサイコトウ)

1.体力中等度で上腹部がはって苦しく、舌苔を生じ、口中不快、食欲不振、時により微熱、悪心などある方の次の諸症:諸種の急性熱性病、肺炎、気管支炎、気管支喘息、感冒、リンパ腺炎、慢性胃腸障害、産後回復不全
2.慢性肝炎における肝機能障害の改善

・漢方薬の中で唯一併用禁忌がある(インターフェロン製剤、肝硬変・肝がん患者、血小板10万/mm3以下)。
・肺炎の急性期では、最初の1週間は少なくとも4時間ごとに服用。

・新型コロナウイルスによる肺炎にも用いる。

柴胡桂枝湯
(サイコケイシトウ)

発熱汗出て、悪寒し、身体痛み、頭痛、はきけがある方の次の諸症:
感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛

・脳梗塞後遺症、てんかんなどにも。

・上腹部の強烈な炎症、呼吸器炎症の回復期、小児の虚弱体質と、応用範囲がきわめて広い。

柴胡桂枝乾姜湯
(サイコケイシカンキョウトウ)

体力が弱く、冷え症、貧血気味で、動悸、息切れがあり、神経過敏の方の次の諸症:
更年期障害、血の道症、神経症、不眠

・小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯よりも虚弱な場合に用いる。

・蓄膿症、中耳炎、肺炎、神経痛、体重減少、肝炎、黄疸、胃炎、胃潰瘍、自律神経失調症などにも。

柴胡加竜骨牡蛎湯
(サイコカリュウコツボレイトウ)

比較的体力があり、心悸亢進、不眠、いらだち等の精神症状のある方の次の諸症:
高血圧症、動脈硬化症、慢性腎臓病、神経衰弱症、神経性心悸亢進症、てんかん、ヒステリー、小児夜啼症、陰萎

・ポイントは精神的ストレス。
・精神安定と血管の抗炎症の2つの作用がある。

・胃炎、胃酸過多、肝炎、黄疸などにも。

半夏瀉心湯
(ハンゲシャシントウ)

みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のある方の次の諸症:
急・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔い、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

・がん化学療法による副作用の軽減にも用いる。
・口内炎では、本剤を少量の熱湯で溶かし、水を50ccほど加える。これを数回に分けて口に含み、炎症部位によくなじませてから飲み込むとよい。
・胃腸炎については特に症状が激しいものに。

・下痢型の過敏性腸症候群にも。

黄連解毒湯
(オウレンゲドクトウ)

比較的体力があり、のぼせぎみで顔色赤く、イライラする傾向のある次の諸症:
鼻出血、高血圧、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔、血の道症、めまい、動悸、湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症

・過換気症候群、神経症など精神疾患に。
・胃炎、胃・十二指腸潰瘍、バレット食道などの胃腸疾患に。
・胃酸の分泌を抑制するのではなく、胃粘膜の抵抗性を増強する。
・脳出血、喀血、下血、血尿などの出血疾患に。
・更年期障害による高血圧に。

・アトピー性皮膚炎、酒皶などの皮膚疾患に。

半夏厚朴湯
(ハンゲコウボクトウ)

気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:
不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症

・生薬の厚朴には、消化管に停滞しているガスの排出や、呼吸器に停滞している痰の排出作用がある。
・嚥下反射低下には改善効果がない。
・特にのどのつまり感(ヒステリー球、梅核気)に用いる。

・胃腸が弱い人方には「茯苓飲」を併用場合もある。

五苓散
(ゴレイサン)

口渇、尿量減少する方の次の諸症:
浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病

・メニエール病、三叉神経痛、唾液分泌過多症、暑気あたり、膀胱炎、帯状疱疹、仮性近視、乗り物酔い、つわり、透析に伴う頭痛などにも。
・即効性があるため、車酔い対策なら乗る前の30分、飛行機降下時頭痛では着陸前の30分の時点で服用するとよい。
・体内の水分調整作用があり、むくみには利尿作用が、脱水だと水分保持作用がある。
・アクアポリン4に作用して細胞内の水分量を調節する。

・頭痛では特に気圧(低気圧の接近)が関係するものによい。

四苓湯
(シレイトウ)

のどが渇いて水を飲んでも尿量が少なく、はき気、嘔吐、腹痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:
暑気あたり、急性胃腸炎、むくみ

・五苓散から経皮を除いた漢方薬。

桂枝加朮附湯
(ケイシカジュツブトウ)

関節痛、神経痛

・葛根加朮附湯と違い麻黄を含まないため、麻黄の副作用である胃腸障害、のぼせ、発汗過多を裂けることができる。

・肩関節周囲炎、頚椎症、変形性関節症、関節リウマチ、帯状疱疹など。

桂枝加苓朮附湯
(ケイシカリョウジュツブトウ)

慢性的な筋肉痛、関節痛、神経痛

・麻黄を含む葛根湯では胃腸障害、のぼせ、発汗過多がみられ合わないときに用いる。

桂枝加葛根湯
(ケイシカカッコントウ)

身体虚弱な方に風邪の初期で、肩こりや頭痛がある

・麻黄を含む漢方を使えない場合の胃腸障害、のぼせ、発汗過多などによい。

・胸や肩甲骨から上の筋肉に張りやこりがある。

桂芍知母湯
(ケイシャクチモトウ)

関節痛、神経痛

・特に慢性的な筋肉痛、関節痛、神経痛によい。
・ばね指、ドゥケルバン病、腱鞘炎などにもよい。

・痛風発作にも用いる。

小青竜湯
(ショウセイリュウトウ)

下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙:気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒

・特に花粉症などのアレルギー性鼻炎でよく用いられる。
・鼻や気管支のアレルギー性炎症がすぐに治まる。
・起床時にひどくなるくしゃみや鼻水では、本剤を複数回服用することで午前中のつらい症状を緩和できる。

・花粉症で目や鼻の症状が強いときは「越婢加朮湯」を併用する。

防已黄耆湯
(ボウイオウギトウ)

色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗が多く、小便不利で下肢に浮腫をきたし、膝関節の腫痛する方の次の諸症:
腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰水腫、肥満症、関節炎、癰、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順

・生薬の防已には、利尿、鎮痛の作用がある。

・ダイエットにもよく用いられる。

小半夏加茯苓湯

(ショウハンゲカブクリョウトウ)

体力中等度の次の諸症:
妊娠嘔吐(つわり)、そのほかの諸病の嘔吐(急性胃腸炎、湿性胸膜炎、水腫性脚気、蓄膿症)

・しゃっくり、めまい、動悸にも。

消風散
(ショウフウサン)

分泌物が多く、かゆみの強い慢性の皮膚病(湿疹、蕁麻疹、水虫、あせも、皮膚掻痒症)

・湿疹は汗で悪化するものに用いる。

当帰芍薬散
(トウキシャクヤクサン)

筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすい方の次の諸症:
貧血、怠感、更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こり等)、月経不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症

・「婦人科三大漢方薬」のひとつ。

・妊婦にも使用できる。

当帰芍薬散加附子
(トウキシャクヤクサンカブシ)

血色悪く貧血性で足腰が冷え易く、頭痛、頭重で小便頻数を訴え時に目眩、肩こり、耳鳴り、動悸あるものの次の諸症:
婦人の冷え症、月経痛、神経痛、慢性腎炎、更年期障害、妊娠中の障害(浮腫、習慣性流産の予防、痔疾、腹痛)、産後の肥立不良

・特に冷えが強く下痢傾向にある場合。

・臭覚障害にも。

加味逍遙散
(カミショウヨウサン)

体質虚弱な婦人で肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある次の諸症:
冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症

・婦人科領域で用いられる三大処方のひとつ。
・頭痛、憂うつ、イライラ、怒りっぽい、のぼせ、目の疲れ、四肢のしびれ、腹痛、冷え症、倦怠感などにも。

・服用を開始して1週間程度で効果が出はじめる。

桂枝茯苓丸
(ケイシブクリョウガン)

体格はしっかりしていて赤ら顔が多く、腹部は大体充実、下腹部に抵抗のある方の次の諸症:
子宮並びにその付属器の炎症、子宮内膜炎、月経不順、月経困難、帯下、更年期障害(頭痛、めまい、のぼせ、肩こり等)、冷え症、腹膜炎、打撲症、痔疾患、睾丸炎

・婦人科領域で用いられる三大処方のひとつ。
・微小循環障害に対する漢方薬の第一選択。

・術後の創部、下肢の静脈血栓症、新型コロナワクチンの副反応である上腕の筋肉痛などにも。

桂枝加竜骨牡蛎湯
(ケイシカリュウコツボレイトウ)

下腹直腹筋に緊張のある比較的体力の衰えている方の次の諸症:
小児夜尿症、神経衰弱、性的神経衰弱、遺精、陰萎

・柴胡加竜骨牡蛎湯より体が弱い方に。
・高血圧、頭痛、のぼせなどにも。
・胃炎、胃酸過多、食欲不振、肝炎、黄疸などにも。

・子どもの夜泣きにも。

麻黄湯
(マオウトウ)

悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ない方の次の諸症:
感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難

・乳児の鼻閉塞では、濡れた指先に本剤を付け、乳児の頬粘膜に付けるとよい。
・A型インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。
・感冒では、特に「発熱しているが発汗はない」場合に1~2時間おきに1包を、発汗するまで繰り返す。

・眠気成分が含まれていない。

越婢加朮湯
(エッピカジュツトウ)

浮腫と汗が出て小便不利のある方の次の諸症:
腎炎、ネフローゼ、脚気、関節リウマチ、夜尿症、湿疹

麦門冬湯
(バクモンドウトウ)

痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支喘息

・特に激しい咳、顔が赤くなるほどの咳込みに。
・症状の進行が早い流行性のものでなく、咳そのものが主な症状のときに用いる。
・薬効の持続が短い。

・閉じたアクアポリン5を開放し、細胞内に水を導き入れることで細胞の脱水を解消する。

真武湯
(シンブトウ)

新陳代謝の沈衰している方の次の諸症:
胃腸疾患、胃腸虚弱症、慢性腸炎、消化不良、胃アトニー症、胃下垂症、ネフローゼ、腹膜炎、脳溢血、脊髄疾患による運動ならびに知覚麻痺、神経衰弱、高血圧症、心臓弁膜症、心不全で心悸亢進、半身不随、リウマチ、老人性掻痒症

・ポイントは冷え。寒冷によって悪化する疾患に。

・冷え、寒気、疲れやすい、めまい、動悸、腹痛、浮腫、尿量減少、水様便などに。

呉茱萸湯
(ゴシュユトウ)

手足の冷えやすい中等度以下の体力の方の次の諸症:
習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気衝心

・しゃっくり、胃痛、倦怠感、循環器症状、呼吸器症状にも。

・偏頭痛に用いるトリプタン製剤は発作が起きる前でないと効果を期待できないが、本剤は発作が起きている間に服用しても効果が期待できる。

人参湯
(ニンジントウ)

体質虚弱の人、あるいは虚弱により体力が低下した方の次の諸症:
急性・慢性胃腸カタル、胃アトニー症、胃拡張、悪阻(つわり)、萎縮腎

・基本的に消化器機能の回復に用いる。

・食欲不振、胃痛、胃もたれ、軟便、下痢、心窩部痛、腹痛、疲れやすい、冷え症、手足の冷え、頻尿、めまい、頭重、動悸などに。

附子理中湯
(ブシリチュウトウ)

胃腸虚弱で血色悪く、顔に生気なく、尿量多く手足に冷感あり、下痢の傾向あり、しばしばはき気、目眩、頭重、胃痛を訴える方の次の諸症:
慢性の胃腸カタル、胃アトニー症

・人参湯に附子を加えたものであるため、基本的には人参湯と同じ適応。
・「気血水」のうち「気」の異常には人参湯を、冷えが強い場合は附子理中湯を用いる。

・食欲不振、胃痛、胃もたれ、軟便、下痢、心窩部痛、腹痛、虚弱、疲れやすい、冷え症、手足の冷え、頻尿、めまい、頭重、動悸などによい。

大黄牡丹皮湯
(ダイオウボタンピトウ)

比較的体力があり、下腹部痛があって、便秘しがちな方の次の諸症:
月経不順、月経困難、便秘、痔疾

・更年期障害、下肢静脈瘤。高脂血症、直腸炎、肛門周囲炎、膀胱炎、蕁麻疹などにも。

白虎加人参湯
(ビャッコカニンジントウ)

のどの渇きとほてりのある方

・感染症による発熱、悪寒、頭痛、発汗など。
・皮膚炎、湿疹、皮膚そう痒症など。

・糖尿病、甲状腺機能亢進症など。

桂枝加厚朴杏仁湯
(ケイシカコウボクキョウニントウ)

身体虚弱な方のせき

・乳幼児で風邪をひいて喘息になるときにも用いる。
・感染症による各種症状に。

・胃腸障害、のぼせ、発汗過多などで麻黄を含む漢方薬を使えない場合。

桂麻各半湯
(ケイマカクハントウ)

感冒、せき、かゆみ

・発疹、湿疹がみられない皮膚のかゆみや高齢者の皮膚のかゆみなど。

四逆散
(シギャクサン)

比較的体力のある方で、大柴胡湯証と小柴胡湯証との中間証を表わす方の次の諸症:
胆炎、胆石症、胃炎、胃酸過多、胃潰瘍、鼻カタル、気管支炎、神経質、ヒステリー

・特に精神的ストレスがある場合に。

木防已湯
(モクボウイトウ)

顔色がさえず、咳をともなう呼吸困難があり、心臓下部に緊張圧重感がある方の心臓、あるいは、腎臓にもとづく疾患、浮腫、心臓性喘息

・ポイントは浮腫と動悸。

・心不全、不整脈、気管支喘息、肺気腫、ネフローゼ症候群、慢性腎炎などにも。

半夏白朮天麻湯
(ハンゲビャクジュツテンマトウ)

胃腸虚弱で下肢が冷え、めまい、頭痛などがある方

当帰四逆加呉茱萸生姜湯
(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)

手足の冷えを感じ、下肢が冷えると下肢または下腹部が痛くなり易い方の次の諸症:
しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛

・開腹術後の腹痛、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛、冷え症、前立腺炎、前立腺肥大症などにも。

苓桂朮甘湯
(リョウケイジュツカントウ)

めまい、ふらつきがあり、または動悸があり尿量が減少する方の次の諸症:
神経質、ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛

・メニエール病、不定愁訴症候群、不眠症、自律神経失調症、機能性ディスペプシア、腎炎、腎盂腎炎、目の充血、仮性近視などにも。

猪苓湯
(チョレイトウ)

尿量減少、小便難、口渇を訴える方の次の諸症:
尿道炎、腎臓炎、腎石症、淋炎、排尿痛、血尿、腰以下の浮腫、残尿感、下痢

・膀胱炎でも症状が強いものに。

補中益気湯
(ホチュウエッキトウ)

消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症:
夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症

・消化管機能が衰え、倦怠感が顕著なときに用いる。
・慢性疲労の栄養補給にもよい。
・服用後1週間程度で効果が現れるが、若い人ほど早いといわれている。
・NK細胞の活性化作用があり、がんの肝転移を抑制する。

・がん化学療法・放射線療法時の副作用軽減、慢性気管支炎、慢性中耳炎、慢性副鼻腔炎、気管支喘息、肺炎、気管支拡張症、肺気腫、慢性胃炎、肝炎、肝硬変、低血圧症、脳血管障害後遺症、アトピー性皮膚炎、貧血症、寝汗、多汗症、慢性腎炎、男性不妊などにも。

六君子湯

(リックンシトウ)

胃腸の弱い方で、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすい方の次の諸症:
胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐

・特に精神的な要因がポイントで、胃と脳に作用して食欲を増してくれる。
・悪心、全身倦怠感、朝起きられない、食後の眠気、めまい、肩こり、四肢の冷え、体重減少など。
・食欲を増進させるグレリンを増やして、消化管の運動を促進する。

・胃の拡張機能を改善して胃もたれを軽減する。

桂枝湯
(ケイシトウ)

体力が衰えたときの風邪の初期

・特に精神的、肉体的に衰弱しているとき。

・他の漢方薬で改善しない場合や悪化した場合など。

七物降下湯
(シチモツコウカトウ)

身体虚弱の傾向のある方の次の諸症:
高血圧に伴う随伴症状(のぼせ、肩こり、耳なり、頭重)

・脳血管障害後遺症、自律神経失調症、慢性腎炎、神経症などにも。

釣藤散
(チョウトウサン)

慢性に続く頭痛で中年以降、または高血圧の傾向のあるもの

・特に朝の頭痛。

・脳動脈硬化症、脳血管障害後遺症、肩こり、不眠症、神経症、うつ、めまい、メニエール病、更年期障害にも。

十全大補湯
(ジュウゼンダイホトウ)

病後の体力低下、疲労怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血

・T細胞やマクロファージの活性化作用があり、がんの肝転移を抑制する。
・がん化学療法・放射線療法時の副作用軽減、術後体力低下、貧血、低血圧、四肢冷感、食欲不振、上部消化管機能障害、神経衰弱、痔瘻、脱肛、陰部潰瘍、アトピー性皮膚炎、毛髪脱落、褥瘡、口内炎、膠原病などにも。

・がんや重病で体力の消耗が激しく免疫機能が大きく低下している場合によく用いられ、長期服用を要する。

荊芥連翹湯
(ケイガイレンギョウトウ)

蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび

・日本発祥の処方。

・慢性化したアトピー性皮膚炎、じん常性乾癬などにも。

潤腸湯
(ジュンチョウトウ)

便秘

・口渇、喉の乾燥、午後の熱感など、「乾燥」がポイント。

腸癰湯
(チョウヨウトウ)

盲腸部に急性または慢性の痛みがある、あるいは月経痛がある方

・お腹の化膿でも、皮下脂肪よりも深い化膿に用いる。

薏苡仁湯
(ヨクイニントウ)

関節痛、筋肉痛

・関節の痛みで、急性期~慢性期で浮腫がないときに用いる。

・附子が使えないときは(口渇なし)薏苡仁湯を用い、附子が使えるときは(口渇あり)桂芍知母湯を用いる。

疎経活血湯
(ソケイカッケツトウ)

関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛

・ポイントは下半身の痛み。

・筋肉の引きつり、しびれ、浮腫、関節の運動障害、多発性関節炎、痛風、腰痛、坐骨神経痛、下肢麻痺、半身不随などに。

六味地黄丸
(ロクミジオウガン)

疲れやすくて尿量減少または多尿で、ときに口渇がある方の次の諸症:
排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ

・ポイントはだるさ。

・慢性腎炎、ネフローゼ症候群、膀胱炎、神経因性膀胱、前立腺肥大症、慢性前立腺炎、男性不妊、糖尿病、高血圧、腰痛、肩こり、五十肩、骨粗しょう症、白内障、夜尿症などにも。

抑肝散
(ヨクカンサン)

虚弱な体質で神経がたかぶる方の次の諸症:
神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症

・神経伝達物質セロトニン、グルタミン酸を調節して睡眠の質を改善する。
・月経前症候群、更年期障害、術後せん妄、認知症周辺症状などにも。
・表面的な怒りや抑圧された怒り、精神神経症状にも。

・苦味が強いため、苦手な人は漢方服薬ゼリーなどで服用の工夫を。

麻杏甘石湯
(マキョウカンセキトウ)

小児喘息、気管支喘息

・痔の痛みにも用いる。

五淋散
(ゴリンサン)

頻尿、排尿痛、残尿感

・膀胱炎でも、特に繰り返すものに。

・神経因性膀胱、前立腺肥大症、慢性前立腺炎、尿路結石、腎盂腎炎などに。

温清飲
(ウンセイイン)

皮膚の色つやが悪く、のぼせる場合に用いる:
月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症

・炎症性と非炎症性の両方による機能障害を改善する。
・血虚と血熱の両方に効果のある生薬がバランスよく配合されている。
・動悸、不眠、過換気症候群などの精神疾患に。
・胃炎、胃・十二指腸潰瘍などの胃腸疾患に。
・更年期障害による高血圧に。

・アトピー性皮膚炎、酒皶などの皮膚疾患に。

清上防風湯
(セイジョウボウフウトウ)

にきび

・主な症状はのぼせ、赤ら顔、頭痛、めまい。
・しゅさ性ざ瘡、頭部・顔面湿疹、アトピー性皮膚炎、慢性中耳炎、慢性鼻炎、慢性結膜炎などに。

・湿疹では特に赤みが強いもの。

梔子柏皮湯
(シシハクヒトウ)

肝臓部に圧迫感がある方の次の諸症:
黄疸、皮膚そう痒症、宿酔

・ポイントは皮膚の発赤、腫脹、かゆみ。

・肝疾患による黄疸、パニック障害などにも。

治頭瘡一方
(ヂヅソウイッポウ)

湿疹、くさ、乳幼児の湿疹

・特に分泌物、びらん、かさぶたの多い湿疹。

桂枝加芍薬湯
(ケイシカシャクヤクトウ)

腹部膨満感のある次の諸症:
しぶり腹、腹痛

・便通異常、下痢、消化不良など。
・過敏性腸症候群

・内痔核、外痔核、痔瘻、脱肛など。

桃核承気湯
(トウカクジョウキトウ)

比較的体力があり、のぼせて便秘しがちな方の次の諸症:
月経不順、月経困難症、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)

・鼻出血、不眠、動悸、痔疾患、打撲、下肢の冷えなどにも。

防風通聖散
(ボウフウツウショウサン)

腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の次の諸症:
高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘

・本質的には脂質代謝異常の正常化。
・臓毒証体質に用いる。
・ポイントは肥満と便秘。
・脳梗塞、慢性腎炎、坐骨神経痛、糖尿病、脚気、高血圧、蓄膿症などにも。

・ダイエットにもよく用いられる。

五積散
(ゴシャクサン)

慢性に経過し、症状の激しくない次の諸症:
胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、冷え症、更年期障害、感冒

・特に体が冷えて便秘をしているときによい。

炙甘草湯
(シャカンゾウトウ)

体力が衰えて、疲れやすい方の動悸、息切れ

・舌が赤色で表面がつるつるに乾燥。

・発作性頻拍、心臓神経症、不整脈、肺気腫、気管支炎、気管支喘息、甲状腺機能亢進症などに。

帰脾湯
(キヒトウ)

虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:
貧血、不眠症

・特に冷えがある場合に。

・胃腸障害、健忘症などにも。

参蘇飲
(ジンソイン)

感冒、せき

・麻黄を含む葛根湯などで胃に負担がかかるのを避けたい場合によい。

・疲れやすいときに特によい。

女神散
(ニョジンサン)

のぼせとめまいのある方の次の諸症:
産前産後の神経症、月経不順、血の道症

・女神散は鬱々しているときに、加味逍遙散は怒りやイライラなど気が立っているときに用いる。
・更年期障害、卵巣機能不全、心身症などにも。

・更年期障害では、比較的BMIの高い女性で効果が高かったとの研究報告もある。

九味檳榔湯
(クミビンロウトウ)

心悸亢進、肩こり、倦怠感があって、便秘の傾向がある方。

・脚気、高血圧、動脈硬化、これらに伴う頭痛。
・特に浮腫がみられる疲労。
・健胃剤として腹部膨満感、腹痛などにも。

・四肢の冷え、筋痙攣、不眠、更年期障害、胃腸炎、関節炎などにも。

芍薬甘草湯
(シャクヤクカンゾウトウ)

急激におこる筋肉の痙攣を伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛

・こむら返りや筋肉の痙攣などに用い、即効性があり服用後10分程度で効果が現れる。
・上半身の筋肉に炎症がある場合、葛根湯を併用すると効果が高まる。
・ぎっくり腰では葛根湯を併用すると効果が高まる。
・尿管結石による痛みでは、芍薬甘草湯を頓服して痛みをやわらげた後、猪苓湯を3日ほど服用する。

・生薬の甘草にはグリチルリチン酸が含まれているため、低カリウム血症、浮腫、血圧上昇などの副作用に注意を要する。グリチルリチン酸は食品にも多く使われているため、1日の総摂取量が本剤からのみとは限らない。

芍薬甘草附子湯
(シャクヤクカンゾウブシトウ)

冷症で関節や筋肉が痛み、麻痺感があって四肢の屈伸が困難な方の次の諸症:
慢性神経痛、慢性関節炎、関節リウマチ、筋肉リウマチ、五十肩、肩こり

・「芍薬甘草湯」に附子を加えたもので、附子には抗炎症、鎮痛、鎮静、体温上昇、血管弛緩などの作用がある。
・即効性があり10分程度で効果が現れる。

・こむら返り、月経痛、胆石発作、尿路結石にも。

甘草湯
(カンゾウトウ)

咳、咽頭痛、咽頭炎、扁桃炎

・構成生薬は「甘草」のみで、甘みがある。
・甘みのある生薬には急に起こる症状を緩和する作用がある。

・甘草は水分バランスをとる漢方薬には含まれていない。

茯苓飲
(ブクリョウイン)

吐きけや胸やけがあり尿量が減少する方の次の諸症:
胃炎、胃アトニー、溜飲

・特に胃の膨満感がある場合に。

・機能性ディスペプシア、逆流性食道炎にも。

香蘇散
(コウソサン)

胃腸虚弱で神経質の人の風邪の初期

・気分の落ち込み、神経過敏、頭痛、頭重、鼻閉塞、腹痛、腹部膨満感、ガス腹、悪心、嘔吐などによい。

四物湯
(シモツトウ)

皮膚が枯燥し、色つやの悪い体質で胃腸障害のない人の次の諸症:
産後あるいは流産後の疲労回復、月経不順、冷え症、しもやけ、しみ、血の道症

・貧血、皮膚疾患に。

甘麦大棗湯
(カンバクタイソウトウ)

夜泣き、ひきつけ

・構成生薬(大棗、甘草、小麦)すべてに甘みがあり、甘みがある生薬には急に起こる症状を緩和する作用がある。
・特に精神的負担があるときに用いる。

・不安神経症、パニック発作、うつ、てんかんなどに。

柴陥湯
(サイカントウ)

咳、咳による胸痛

・感冒、気管支炎などに。
・胃炎などの消化器疾患に。

・心筋梗塞や狭心症などの循環器疾患に。

調胃承気湯
(チョウイジョウキトウ)

便秘

・便秘に伴う湿疹、のぼせ、皮膚炎、食欲不振、腹部膨満感、腸内異常発酵、肛門疾患などに。

四君子湯
(シクンシトウ)

やせて顔色が悪くて、食欲がなく、疲れやすい方の次の諸症:
胃腸虚弱、慢性胃炎、胃のもたれ、嘔吐、下痢

・元気がない、気力がない、疲れやすい、全身の無力感、声に力がない、息切れ、口数が少ない、顔色が白いなど。

竜胆瀉肝湯
(リュウタンシャカントウ)

比較的体力があり、下腹部筋肉が緊張する傾向がある方の次の諸症:
排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ

・泌尿器、生殖器の病気に。

・尿道炎、膀胱神経症、睾丸炎、バルトリン腺炎、トリコモナス腟炎、腟炎、陰部潰瘍、ベーチェット病などに。

芎帰膠艾湯
(キュウキキョウガイトウ)

痔出血

・貧血や出血などの「血虚」。
・皮膚につやがない、しびれ、目の疲れ、筋肉のひきつり、顔色が悪いなどに。

・婦人科では性器出血の持続、流産予防、早産後の出血、妊娠中の腹痛などに。

芎帰調血飲
(キュウキチョウケツイン)

産後の神経症、体力低下、月経不順

・術後の体調不良にも。

・貧血、めまい、耳鳴り、脱毛、手のしびれ、不眠などにも。

麻杏薏甘湯
(マキョウヨクカントウ)

関節痛、神経痛、筋肉痛

・特に冷えがある場合に。

・関節リウマチ、いぼ、脂漏性皮膚炎、進行性指掌角化症、汗疱状白癬、汗疱などにも。

平胃散
(ヘイイサン)

胃がもたれて消化不良の傾向のある方の次の諸症:
急・慢性胃カタル、胃アトニー、消化不良、食欲不振

・半夏瀉心湯に似ているが、厚朴が含まれている。
・厚朴には、筋弛緩、鎮痛、鎮痙、胃液分泌促進、抗ストレス潰瘍、胃粘膜出血抑制などの作用がある。

・口内炎、腸炎にも。

柴胡清肝湯
(サイコセイカントウ)

かんの強い傾向のある小児の次の諸症:
神経症、慢性桃腺炎、湿疹

・アトピー性皮膚炎、にきびなどの皮膚疾患に。

・口唇炎、口内炎などに。

二陳湯
(ニチントウ)

悪心、嘔吐

・特に体内の水分調節がうまくいかない「水滞」に用いる。
・めまい、動悸、頭痛、耳鳴り、口渇、立ちくらみ、車酔い、朝のこわばりなどにも。
・水滞治療には五苓散も用いるが、五苓散は体内の水分バランスをとり、二陳湯は消化管機能を中心に水分バランスをとる。

・二日酔いにも。

桂枝人参湯
(ケイシニンジントウ)

胃腸の弱い人の次の諸症:
頭痛、動悸、慢性胃腸炎、胃アトニー

・体の中が冷える場合もよい。

・虚弱体質

抑肝散加陳皮半夏
(ヨクカンサンカチンピハンゲ)

虚弱な体質で神経がたかぶる方の次の諸症:
神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症

・抑肝散より症状が慢性化し、または甘草による副作用がある場合に用いる。

大黄甘草湯
(ダイオウカンゾウトウ)

便秘症

・便秘に伴うのぼせ、湿疹、食欲不振、ふきでもの、腸内異常発酵、肛門疾患などに。

神秘湯
(シンピトウ)

小児喘息、気管支喘息、気管支炎

・精神症状を伴う呼吸器疾患によい。
・安栄湯とも呼ばれ、戦場の恐怖と緊張の治療に用いられていた。

・イライラ、憂うつ感などにもよい。

当帰飲子
(トウキインシ)

冷え症の方の次の諸症:
慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、かゆみ

・ポイントは乾燥。乾燥している湿疹には本剤を、分泌物の多いものには治頭瘡一方。
・かゆみ、湿疹、皮膚掻痒感、冷え症などに。

・人工透析に伴う皮膚そう痒症、慢性じんま疹、じん常性乾癬、皮膚炎、アトピー性皮膚炎などに。

六味丸
(ロクミガン)

疲れやすくて尿量減少または多尿で、時に口渇がある方の次の諸症:
排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ

二朮湯
(ニジュツトウ)

五十肩

・ポイントは痛みと浮腫。

・肩関節周囲炎、変形性関節症、肩こり、関節リウマチ、上腕神経痛などに。

治打撲一方
(ヂダボクイッポウ)

打撲によるはれ、痛み

・外傷の初期には、大黄を含む通導散などと併用し、数日後、本剤のみを単独で用いる。

・骨痛、筋肉痛、関節痛などに。

清肺湯
(セイハイトウ)

痰の多く出る咳

・咳、痰、のぼせ、ほてり、イライラ、口渇などに用いる。

・慢性呼吸器疾患、慢性咽頭炎、口内炎などにも用いる。

竹筎温胆湯
(チクジョウンタントウ)

インフルエンザ、風邪、肺炎などの回復期に熱が長びく、また平熱になっても、気分がさっぱりせず、せきや痰が多くて安眠できない方

・ポイントは「長引く」症状。
・午後から夜に増える咳に用いる。

・不安神経症にも用いる。

滋陰至宝湯
(ジインシホウトウ)

虚弱な方の慢性のせき・たん

・加味逍遙散に似ているため虚証のホットフラッシュ、寝汗、倦怠感にもよい。

・食欲不振、体力低下、体重減少、月経不順にもよい。

滋陰降火湯
(ジインコウカトウ)

のどにうるおいがなく痰が出なくて咳こむ

・特に午後から夜に増える咳によい。

五虎湯
(ゴコトウ)

せき、気管支喘息

・生薬に桑白皮が含まれているため味が薄く子どもでも飲みやすい。

・痔の痛みにも用いる。

柴朴湯
(サイボクトウ)

気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:
小児喘息、気管支喘息、気管支炎、せき、不安神経症

・胃炎、腸炎などの消化器疾患にも。

大防風湯
(ダイボウフウトウ)

関節がはれて痛み、麻痺、強直して屈伸しがたい方の次の諸症:
下肢の関節リウマチ、慢性関節炎、痛風

・肩関節周囲炎、五十肩などにも。

黄耆建中湯
(オウギケンチュウトウ)

身体虚弱で疲労しやすい方の次の諸症:
虚弱体質、病後の衰弱、寝汗

・小建中湯よりも虚弱な方に用いる。

小建中湯
(ショウケンチュウトウ)

体質虚弱で疲労しやすく、血色がすぐれず、腹痛、動悸、手足のほてり、冷え、頻尿および多尿などのいずれかを伴う次の諸症:
小児虚弱体質、疲労倦怠、神経質、慢性胃腸炎、小児夜尿症、夜なき

・滋養強壮、健胃の作用がある膠飴(こうい)を含み甘みがある。

・甘みの生薬は急に起こる症状を緩和する作用がある。

大建中湯
(ダイケンチュウトウ)

腹が冷えて痛み、腹部膨満感のある方

・外科手術後の癒着性腸閉塞の予防にも用いる。
・生薬の山椒に腸管運動の調節作用があり、山椒と乾姜に血管拡張と抗炎症作用がある。
・量を増やすと効果が増す。
・内服後15~30分程度で効果が現れる。
・腹痛、腸閉塞、イレウス、過敏性腸症候群、胆石症、慢性腸炎、慢性膵炎、慢性腹膜炎、機能性ディスペプシア、尿路結石、膀胱炎、過活動性膀胱炎などに。

・腸疾患の術後早期の予防的投与や治療に有用だが、長期服用による予防効果はない。

升麻葛根湯
(ショウマカッコントウ)

感冒の初期、皮膚炎

・特に発疹や水疱などの皮膚、粘膜症状がある場合によい。

・みずぼうそう、はしかにもよい。

当帰湯
(トウキトウ)

背中に寒冷を覚え、腹部膨満感や腹痛のある方

・胃潰瘍、狭心症、肋間神経痛、過敏性腸症候群、慢性膵炎、慢性胃腸炎、胃・十二指腸潰瘍、胆石症、腸閉塞、イレウス、産前・産後の腹痛などに。

酸棗仁湯
(サンソウニントウ)

心身がつかれ弱って眠れない方

・特に慢性疲労。

・神経伝達物質GABAを増やして睡眠の質を改善する。

辛夷清肺湯
(シンイセイハイトウ)

鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症

・抗アレルギー作用のある辛夷が含まれている。

・鼻づまり、鼻炎、蓄膿症、副鼻腔炎、肥厚性鼻炎、鼻ポリープ、嗅覚低下、鼻閉などに用いる。

通導散
(ツウドウサン)

比較的体力があり下腹部に圧痛があって便秘しがちな方の次の諸症:
月経不順、月経痛、更年期障害、腰痛、便秘、打ち身(打撲)、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)

・血流が滞っている「瘀血」に用いる。

・アトピー性皮膚炎、自律神経失調症にも。

温経湯
(ウンケイトウ)

手足がほてり、唇がかわく方の次の諸症:
月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ

・習慣性流産、早産、不妊症、アトピー性皮膚炎、腰痛、レイノー病、冷え症などにも。

牛車腎気丸
(ゴシャジンキガン)

疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少または多尿で時に口渇がある次の諸症:
下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ

・「八味地黄丸」より附子が増量されており、血流改善、浮腫や痛みの軽減作用が高められている。
・ポイントは下半身の症状。
・高齢者の諸症状に。
・糖尿病、高血圧、白内障などにも。

・夜間頻尿では効果がでるまで時間を要し、2ヵ月程度服用が必要。

人参養栄湯
(ニンジンヨウエイトウ)

病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血

・特に精神の疲労に。
・NK細胞の活性化作用があり、がんの肺転移を抑制する。
・補中益気湯や十全大補湯よりも悪化した状態に用いる。
・十全大補湯との違いは、本剤には造血と精神安定作用がある。
・高齢者のフレイル対策にも。

・肺がんや肺転移などにも。

小柴胡湯加桔梗石膏
(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)

咽頭がはれて痛む次の諸症:扁桃炎、扁桃周囲炎

・胃炎、腸炎などの消化器疾患にも。

・気管支炎、中耳炎などの熱性疾患にも。

桔梗石膏
(キキョウセッコウ)

咳嗽あるいは化膿がある方

・咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎、咳、痰などに。
・生薬の石膏に利尿作用がある。

立効散
(リッコウサン)

抜歯後の疼痛、歯痛

・口腔内の症状に用いる。
・舌痛症、口内炎、歯周炎、歯肉炎、顎関節症、三叉神経痛などに。

・口腔内の疾患では、お湯で溶かして水で薄め、口腔内ですすぐとよい。口内炎や歯肉炎には、お湯で溶かしたペースト状を患部に塗布するのがよい。

清心蓮子飲
(セイシンレンシイン)

全身倦怠感があり、口や舌が乾き、尿が出しぶる方の次の諸症:
残尿感、頻尿、排尿痛

・長引く膀胱炎に。

猪苓湯合四物湯
(チョレイトウゴウシモツトウ)

皮膚が枯燥し、色つやの悪い体質で胃腸障害のない方の次の諸症:
排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿

・尿トラブルで「猪苓湯」よりも治りづらいときに。

・慢性前立腺炎、前立腺肥大症、外傷、月経不順、皮膚そう痒症、しもやけなどにも。

三黄瀉心湯
(サンオウシャシントウ)

比較的体力があり、のぼせ気味で、顔面紅潮し、精神不安定で、便秘の傾向のある方の次の諸症:
高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳なり、頭重、不眠、不安)、鼻血、痔出血、便秘、更年期障害、血の道症

・吐血、喀血、月経代償性出血、脳底出血、眼底出血、胃潰瘍、更年期障害、熱傷などにも。

柴苓湯
(サイレイトウ)

吐き気、食欲不振、のどの渇き、排尿が少ないなどの次の諸症:
水様性の下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ

・クローン病、潰瘍性大腸炎、腎炎、ネフローゼ症候群、肝炎、肝硬変、膠原病などにも。

・クローン病や潰瘍性大腸炎では、「半夏瀉心湯」で下痢の症状を、本剤で炎症を抑える。

胃苓湯
(イレイトウ)

水様性の下痢、嘔吐があり、口渇、尿量減少を伴う次の諸症:
食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛

・特に夏の胃腸障害に。

・水分バランスがポイント。

茯苓飲合半夏厚朴湯
(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)

気分がふさいでのどや食道に異物感があり、動悸やめまい、吐き気、胸やけ、尿量の減少をともなう次の諸症:
不安神経症、神経性胃炎、つわり、溜飲、胃炎

・食道~胃~小腸までの症状に。

・逆流性食道炎、機能性ディスペプシアにも。

茵蔯五苓散
(インチンゴレイサン)

喉が渇いて、尿が少ない方の次の諸症:
嘔吐、蕁麻疹、二日酔いのむかつき、むくみ

・生薬の茵蔯蒿には胆汁分泌促進作用がある。

・尿量減少、浮腫、めまい、頭痛、黄疸などにも。

苓姜朮甘湯
(リョウキョウジュツカントウ)

腰に冷えと痛みがあって、尿量が多い次の諸症:
腰痛、腰の冷え、夜尿症

・坐骨神経痛、神経因性膀胱、残尿、おりものなどにも。

・腰の冷えや痛みでも、特に皮膚や末端の冷えが強い場合に用いる。

苓甘姜味辛夏仁湯
(リョウカンキョウミシンゲニントウ)

貧血、冷え症で喘鳴を伴う喀痰の多い咳がある方の次の諸症:
気管支炎、気管支喘息、心臓衰弱、腎臓病

・花粉症にもよく用いられる。

黄連湯
(オウレントウ)

胃部の停滞感や重圧感、食欲不振がある方の次の諸症:
急性胃炎、二日酔い、口内炎

・口臭、機能性ディスペプシア、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、口腔心身症、慢性膵炎、ベーチェット病などにも。

黄芩湯
(オウゴントウ)

腸カタル、消化不良、嘔吐、下痢

・芍薬甘草湯を含んでいるため即効性がある。

・口内炎、急性腸炎、食中毒、感冒にも。

三物黄芩湯
(サンモツオウゴントウ)

手足のほてり

・夏になると手足に熱感がある、冷たいところに触れたがる、布団から手足を出したがる。

・湿疹、水虫、しもやけ、口渇、不眠、口内炎などにも。

排膿散及湯
(ハイノウサンキュウトウ)

患部が発赤、腫脹して疼痛を伴った化膿症、瘍などの皮膚疾患

・歯周組織炎、副鼻腔炎、慢性中耳炎、ものもらい、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、リンパ節炎などにも。

・皮膚から皮下脂肪までの深さの化膿に。

当帰建中湯
(トウキケンチュウトウ)

疲労しやすく、血色のすぐれない方の次の諸症:
月経痛、下腹部痛、痔、脱肛の痛み

・特に女性の腹痛に用いる。

川芎茶調散
(センキュウチャチョウサン)

風邪、血の道症、頭痛

・症状の進行が緩徐な場合や、麻黄を使えない場合に用いる。

・女性ホルモンに関する疾患にも。

桂枝加黄耆湯
(ケイシカオウギトウ)

体力が衰えている方の寝汗、あせも

・皮膚に水気を含んで弾力に乏しく盗汗、しびれ感のあるときに用いる。
・感染症による諸症に。
・副鼻腔炎、中耳炎、痔瘻など。
・化膿性皮膚疾患、湿疹、皮膚炎など。

桂枝茯苓丸加薏苡仁
(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)

比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどがある方の次の諸症:
月経不順、血の道症、にきび、しみ、手足のあれ

・月経痛、更年期障害、不妊症、子宮筋腫、子宮内膜炎、性器出血、睾丸炎、肛門疾患、下肢静脈瘤などにも。

麻子仁丸
(マシニンガン)

便秘

・腸管の蠕動運動を促進する。
・腸や便を潤わす。
・特にコロコロ便に。
・高齢者や体力が低下しているときの便秘。

・常習性便秘、病後の便秘、便秘による痔核、人工透析時の便秘などに。

麻黄附子細辛湯
(マオウブシサイシントウ)

悪寒、微熱、全身倦怠、低血圧で頭痛、めまい、四肢に疼痛冷感がある方の次の諸症:
感冒、気管支炎

・特にのどに痛みがある風邪に。

・発汗作用、鎮痛作用がある。

啓脾湯
(ケイヒトウ)

やせて、顔色が悪く、食欲がなく、下痢の傾向がある方の次の諸症:
胃腸虚弱、慢性胃腸炎、消化不良、下痢

・真武湯で効果が得られなかった場合や附子が使えない場合に用いる。

・過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病にも。

大承気湯
(ダイジョウキトウ)

便秘で腹部がかたくつかえる、または肥満体質で便秘になる方の次の諸症:
常習便秘、急性便秘、高血圧、神経症、食あたり

・生薬の芒硝に腸蠕動の亢進作用があり酸化マグネシウムと同じ働きがある。
・炎症による熱にも用いる。

・高熱、発汗、腹部膨満感、腹痛、口渇、濃い尿、興奮状態にも。

桂枝加芍薬大黄湯
(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)

比較的体力のない方で、腹部膨満があり、腸内の停滞感または腹痛などを伴う方の次の諸症:
①急性腸炎、大腸カタル ②常習便秘、宿便、しぶり腹

・大黄の腸内細菌調節作用により、下痢と便秘を繰り返す頻便、残便感などの症状に用いる。

茵蔯蒿湯
(インチンコウトウ)

便秘がちで比較的体力がある方の次の諸症:
黄疸、肝硬変症、ネフローゼ、蕁麻疹、口内炎

・皮膚のかゆみに用いる場合は口渇があるか。

清暑益気湯
(セイショエッキトウ)

暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠、夏やせ

・夏バテに用いる場合、補中益気湯と同様に胃腸の調子を整えるタイプ。

・不定愁訴症候群、神経症、肝炎、胃腸炎などにも。

加味帰脾湯
(カミキヒトウ)

虚弱体質で血色の悪い方の次の諸症:
貧血、不眠症、精神不安、神経症

・胃腸障害、健忘症にも。

桔梗湯
(キキョウトウ)

咽頭がはれて痛む次の諸症:
扁桃炎、扁桃周囲炎

・のどの症状に用いる。
・咽頭炎、化膿した痰、咳にも。
・生薬の「桔梗」には、去痰、鎮咳、鎮痛、抗菌、抗炎症作用がある。

・お湯に溶かして少しずつ口に含み、うがいをした後に飲み込むとよい。

紫雲膏
(シウンコウ)

やけど、痔の疼痛、肛門裂傷

・保険適用漢方で唯一軟膏タイプ。
・皮膚疾患や外傷に用い、乾燥していても、化膿していても使える。
・湿疹、角皮症、水虫、うおのめ、たこ、いぼ、にきび、ひび、あかぎれ、あせも、かぶれ、わきが、円形脱毛症などに。

・外傷、しもやけ、床ずれ、虫さされ、下腿潰瘍、痔核、痔瘻、脱肛、ひょう疽、びらんなどに。
参考元
  1. ツムラ社各種漢方の添付文書
  2. コタロー社各種漢方の添付文書
  3. 今津嘉宏著『健康保険が使える漢方薬の事典』(株式会社つちや書店、2022年)
  4. 新見正則著『本当に明日から使える漢方薬』(株式会社新興医学出版社、2010年)

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