しびれについて
しびれとは
どんなしびれであっても放っておいてよいものはありません。手足のしびれ、感覚の鈍化、緻密な作業に支障があるときは、すみやかに当院までご相談ください。
脳出血や脳腫瘍、脊椎や脊髄の疾患などが原因でしびれが起こっていることもありますので、注意が必要です。また、しびれだけでなく痛みもある場合は緊急性が高いですが、痛みのみの場合も早めに受診することをお勧めします。
直ちに受診が必要なしびれ
しびれだけでなく、ものが二重に見える、呂律が回らない、吐き気、身体の片側が麻痺しているといった症状がある場合は、脳卒中など深刻な疾患が起こっているおそれがあります。
手のしびれ
手のしびれとは
緻密な動きをする手がしびれる場合は、日常生活にも支障をきたすことがあります。
以下に当てはまる方は、何らかの疾患が原因となってしびれが起こっているおそれがあります。
- 手のしびれが最近増してきた
- 起床時、常に手のしびれがある
- 手のしびれによりスマホが握れない
手のしびれを引き起こす主な病気
以下のような疾患には要注意です。
脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)
脳血管の破裂による脳出血、脳血管の閉塞による脳梗塞などで手がしびれることがあります。
手のしびれだけでなく、口の周りのしびれ、話しづらさ、頭痛、手足の麻痺といった症状もよくみられますので、このような症状があればすみやかに医療機関を受診してください。
長く続く手のしびれき起こす主な病気
以下のような疾患によって手のしびれが慢性化することがあります。
頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症
首と骨の間(頚椎)でクッションのように働いている椎間板が変形すると、手の動かしづらさや痛みなどの症状が現れます。
中高年の方の発症がほとんどでしたが、昨今ではスマホやPCを多用する若年層でも発症が増えています。
手根管症候群
正中神経という手の運動や指先の感覚を司る神経に異常が起こり、手の痛み、しびれの症状が現れます。更年期や妊娠・出産期の女性に多いという特徴があります。また、過度な運動や骨折が原因となることもあります。
夜間から早朝にかけて激しい痛みが生じ、手を伸ばしたり振ったりすることで痛みが緩和する傾向にあります。
多発性硬化症
さまざまな神経症状が併発する難病で、ふらつき、手のしびれ、視覚障害、排尿障害といった症状が特徴的です。
また、症状の程度は人によってまちまちです。
糖尿病性神経障害
糖尿病によって末梢神経がダメージを受け、温度や痛みを感じづらくなり、手のしびれを感じるようになります。
糖尿病を患っている方で手のしびれの症状もある場合は、かかりつけ医にご相談ください。
受診目安とポイント
慢性的なしびれ、動かしづらさといった症状があれば、当院までご相談ください。
しびれの原因によって専門科はさまざまですが、ひとまず整形外科に相談することをお勧めします。
受診の際に、しびれが始まった時期、絶えずしびれているのか、しびれの詳細・範囲、じっとしていてもしびれるかなどをお伝えください。
生活習慣が原因の場合
生活習慣を正すことでしびれの症状が治まることがあります。
血行不良
圧迫、筋肉の緊張、寒さなどによる血行不良によって手がしびれることがあります。
血行を改善する方法
ストレッチなど軽めの運動を習慣化して、筋肉が緊張しないようにするとよいでしょう。また、血行を悪化させるような締め付けが強い下着などはなるべく着用しないようにしましょう。さらに、手を冷やさないようにする、こまめにマッサージするなどを心がけると血行が促進されるためお勧めです。
筋肉痛や肩こりが原因の場合
筋肉痛や強い肩こりが手のしびれの原因となることもあります。
筋肉痛や肩こりを改善する方法
糖質からエネルギーを作り出して筋肉に届けるビタミンB1、神経の機能に不可欠なビタミンB12などを積極的に摂取しましょう。こりがあるからといって肩たたきやマッサージをしても、こりの解消には効果が薄いとされています。
なかなか症状が治らない方は、当院までご相談ください。
足のしびれ
足のしびれ
正座などが原因となるものは特に問題ありませんが、原因不明で足のしびれが長引いているときはご注意ください。
- 正座などしていないのに、足にジンジンしたしびれがある
- 深刻な腰痛で、足のしびれも起こっている
- 足裏に何かくっついているようなしびれが常にある
足のしびれの原因となる神経や骨の疾患
以下が典型的な疾患です。
腰椎椎間板ヘルニア
腰に大きな負荷がかかることで、背骨の骨と骨の間でクッションのように働いている椎間板が変形し、神経が通る脊柱管内に飛び出すことで神経が圧迫されます。腰痛が典型的な症状として知られていますが、お尻や足にしびれが起こることもあります。
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
背中の中の血管や神経が何らかの原因で圧迫されることで引き起こされます。足のしびれや、一定の距離の歩行で足に痛みが生じますが、椅子に座って安静にすると症状が落ち着く傾向にあります。最初は片足だけに症状が現れ、徐々に両足に起こるようになります。
頚椎症(けいついしょう)
加齢による首の骨の変形が原因で、神経が圧迫されることで引き起こされます。圧迫される場所によって症状に違いがあり、両手のしびれで緻密な作業がしづらい、足のしびれで歩行に支障が出るといった状態になります。
足根管症候群
内くるぶしの部分で足裏の神経が圧迫されることで引き起こされます。かかと以外の足裏〜足指の部分でしびれと痛みが生じ、足の甲や足首より上側では症状は起こりません。足裏に何かがくっついているような感覚を覚えることもあります。
足のしびれの原因となる体の疾患
以下が典型的な疾患です。
脳血管障害
広くは脳卒中と呼ばれており、脳血管の破裂による脳出血、脳血管の閉塞による脳梗塞に大別されます。どちらのケースも、意識が朦朧とする、手足のしびれ、呂律が回らないといった症状が典型的です。
発症した場合は直ちに治療が必要ですので、異変を感じたら至急、医療機関を受診してください。
糖尿病性神経障害
糖尿病で高血糖状態が慢性化すると、神経がダメージを受けて複数の症状が起こります。特に、手足の先で症状が起こりやすく、冷え、しびれ、足裏に何かがくっついているような感覚を覚えるようになります。
糖尿病の方で上記のような症状がある場合は、かかりつけ医にご相談ください。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化によって血管が狭窄し、足の血管を中心に異常が起こります。足の痛み、しびれ、休まないと歩き続けられないといった症状が特徴的です。
受診の目安とポイント
足のしびれが慢性化していたり、その他の症状も併発したりしている方は、一度当院までご相談ください。しびれの原因次第では別の専門科におつなぎすることもあります。
受診の際は、しびれが始まった時期、程度、しびれは片足なのか両足なのか、さらに足先だけなのか足全体なのかといったことや、そのほかに症状があればお伝えください。
日常生活上の動作が原因となる場合の対処法
日常生活の動作が原因でしびれを感じることもあります。
一時的な神経の圧迫
正座などで神経が少しの間圧迫されることが原因となりえます。
一時的なしびれを感じた場合
無理やり動かすことでしびれがひどくなることもあり、ほかにもこむら返りが起こるおそれもありますので、しびれが消えるまで安静にしましょう。
血行不良
冷えなどの血行不良が原因ともなりえます。
血行不良を感じた場合
熱過ぎないお湯に長めに浸かることで血行を改善しましょう。また、湯船の中で足裏から足の付け根を揉むこともお勧めです。
冬だけでなく夏場のエアコンが効き過ぎた部屋では、足が冷えないように靴下を履くなどして対策しましょう。また、デスクワークの休憩時間には、足指や足首を適度に動かして、血流が滞らないようにしましょう。